知らないと怖い! 浄化槽の点検が必要な理由

浄化槽は微生物の働きなどによって、排水をきれいな水にして放流する装置です。

適切に維持管理を行わないと、機能が低下して排水が十分に処理されずに放流されてしまう場合があります。

こういったことを防ぐため、浄化槽法という法律で「保守点検」「清掃」「法定検査」の3つを実施することが浄化槽管理者の義務として定められています。

浄化槽管理者とは、浄化槽法第七条で「浄化槽の所有者、占有者その他の者で当該浄化槽の管理について権原を有するもの(以下「浄化槽管理者」という。)」と定められています。戸建て住宅で浄化槽を使用されている場合、一般的には、そこにお住まいの方が「浄化槽管理者」となります。




浄化槽の保守点検は何をするの?

浄化槽のいろいろな装置の稼働状況や状態を調べ、簡単な修理を行ったり、害虫の駆除、消毒薬の補充などを行います。

浄化槽の規模や処理方法により、点検の回数が定められています。

保守点検を行わないと、浄化槽の本来の機能が発揮できなくなったり、消毒薬が無くなり大腸菌などが生きたまま外に放出される可能性があります。




保守点検の頻度って決まってる?

保守点検の点検回数は、浄化槽法施行規則で次のように定められています。


合併処理浄化槽の保守点検回数


【処理方法】分離接触ばっ気方式・嫌気ろ床接触ばっ気方式・脱窒ろ床接触ばっ気方式

処理対象人数が20人以下:4か月に1回以上

処理対象人数が21人以上50人以下:3か月に1回以上


【処理方法】活性汚泥方式:1週間に1回以上


【処理方法】回転板接触方式・接触ばつ気方式・散水ろ床方式

砂ろ過装置、活性炭吸着装置又は凝集槽を有する浄化槽:1週間に1回以上

スクリーン及び流量調整タンク又は流量調整槽を有する浄化槽(一に掲げるものを除く。):2週間に1回以上

上二つ以外:3か月に1回以上



単独処理浄化槽の保守点検回数


【処理方法】全ばっ気方式

処理対象人数が20人以下:3か月に1回以上

処理対象人数が21人以上300人以下:2か月に1回以上

処理対象人数が301人以上:1か月に1回以上


【処理方法】分離接触ばっ気方式・分離ばっ気方式・単純ばっ気方式

処理対象人数が20人以下:4か月に1回以上

処理対象人数が21人以上300人以下:3か月に1回以上

処理対象人数が301人以上:2か月に1回以上


【処理方法】散水ろ床方式・平面酸化床方式・地下砂ろ過方式

6か月に1回以上




清掃と法定検査をしていても保守点検は必要?

浄化槽管理者の義務として定められている「保守点検」「清掃」「法定検査」はそれぞれ別のものです。

保守点検は先ほどご説明させていただいた通り、浄化槽の機能を正常に保つための作業です。

清掃とは、浄化槽に溜まった汚泥等の引き抜きや機械類を洗浄する作業です。

法定検査は設置工事や保守点検、清掃が適正に行われているか、きれいな水が放流されているかを検査します。

以上のように、「保守点検」「清掃」「法廷検査」はそれぞれ別の目的で行われており、浄化槽法で義務として定められている内容になります。




まとめ

浄化槽を使用する場合は、浄化槽法により「保守点検」「清掃」「法定検査」の3つを行うことが義務付けられているので、浄化槽管理者はしっかりと実施しましょう。

また、普段から浄化槽の上に物を置かないようにしたり、マンホールの蓋は必ず閉めるといったことは徹底し、浄化槽の性能を保つよう心がけましょう。




よくある質問


1. 浄化槽の点検頻度はどの程度が適切ですか?

家庭用の小型浄化槽では4か月に1回以上(処理方式や処理対象人員によって回数は異なります)行うように定められています。


2. 浄化槽の保守点検はどこに依頼すればいいのか?

浄化槽の保守点検は、「浄化槽保守点検業者」に頼みます。

ただ、登録制度のない都道府県(市町村)では浄化槽管理士に委託することになります。